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従業員が書いたエッセイ

新人女子ブログ

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サンクチュアリ出版の従業員たちが“自分の体験談”を暴露するコーナー。
他人様の考えやプライバシーを売るのが出版社の仕事である。ならば出版社側の人間も、自分のことを打ち明けるのがスジではなかろうか。なんて冗談半分で言ってみたら、バッチリ真に受けてくれるのが我らが従業員たちのいいところ。鼻息荒く、頬を赤らめながら、スットコ体験談をポチポチ書いてくれました。でも内容について、サンクチュアリ出版は一切責任を持ちません。「従業員たちの素顔が知りたい!」という上級者向け。

買わなくてはいけない。〜私の歴史的ショッピング

親から借金したり、クレジットで払ったり、ボーナスを使い込んだり…これまで何度も痛い思いをしてきた「私のお買い物人生」の中で、もっとも深い満足感を与えてくれた珠玉アイテムをこっそりとご紹介。


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もう二度とないだろう買い物
3千円で女らしさを演出?


編集部・ながのくみ


 2年前、私は「電車賃がないから出かけられない」くらい貧乏だった。前の会社では手渡された1ヶ月分の給料を丸々盗まれ、その後働いた友人の会社は業績不振で給料未払い。そのおかげで、28歳にもなってガスを止められ、寒い冬に水を浴びるわけにもいかず風呂に入れない。携帯もインターネットも使えなくなる。もちろん家賃も滞納していて、いつ家を追い出されるかもわからない状態で、親切な友達から送られてきたじゃがいもでなんとか食い繋いでいた。
 そんなところに、友達が「派遣の仕事」の話を持ってきた。といっても事務や経理の仕事ではなく、銀座に派遣されるホステスだ。4時間働いて日給1万1千円。しかも即金だ。
「これで電気を止められずに済むしタダで酒が飲める!」と喜んだが、普段はスニーカーを愛用し、結婚式に呼ばれたときくらいしかスカートをはかない私が、銀座でオヤジの相手なんてできるのだろうか? おまけに友達から「サルみたい」と言われるほどのベリーショートヘアはどう考えても銀座に似合わない。でも事態は深刻なので仕方がなく働くことに決めた。問題は髪型は「ウィッグをつければ大丈夫」と聞いたので、早速お金を借りて買い物に出かけた。

 金髪・茶髪・黒髪。ストレートにパーマ。店内には実にさまざまなウィッグが並んでいる。目に止まったお嬢様風の巻き髪を手に取ると「そちらはある程度髪の長さのある方でないと…」と、自毛がすっぽり隠れるタイプを勧められた。一気に選択肢が少なくなったが、その中からロングの黒髪ストレートのものを選んだ。「ウィッグ」というよりむしろ「カツラ」と呼ぶのがふさわしい気がした。鏡に映る自分を見て、ちょっと不気味な気がしたが「お似合いです!」という店員の言葉を信じて3,129円の会計を済ませた。

 妹からワンピースとハイヒールを借り、指定されたクラブへ向かった。まだお客のいない8時頃、ソファーで待機していると、たまたま店に来ていたクラブのオーナーが「カウンターで一緒に飲まないか?」と声をかけてきた。私は呼ばれるままに席を移り遠慮気味にオードブルのチーズを頬張った。
「新人の派遣さんだってね。名前は?」と北野武似のオーナーが切り出した。ついさっき、店のチイママが「新人にすぐ手を出すから気をつけてね」と言っていたのを思い出した。
 私は自分の源氏名を言うと、あとはなるべく会話が弾まないようにと視線をビールグラスへ戻した。ところがこちらの意図とは裏腹に「家はどこ?」「昼間は何やってるの?」「ビールは好きか?」と矢継ぎ早に質問を投げかけてくる。もしや私は口説かれている?! 頭の中がパニック状態になったとき、
「そういえば、君…」オーナーが私の顔をじっと見つめた。
「……」
 そして一言つぶやいた。
「それ…カツラじゃないか?」
 きょとんとした私をよそに、オーナーはガハハと笑い始めた。
「雨の日に墓場に現れた幽霊みたいだなあ。それじゃお客も気持ち悪いだろう」
 そう言ってズボっと私の頭からカツラを取り去った。
「!!」
 一瞬目を丸くしたが「あのカツラよりはまだいい、ヘアースプレーを借りて頭を直してこい」と苦笑した。
 ちょうど次の日、派遣元から電話がきた。「昨日の店から言われたんですが、カツラはやめてください」とのことだ。案外いけていると思ったのが間違いだった。1回使っただけでは3,129円の元は取れていないだろう。もう二度とカツラは買うまい、そう心に誓った。



参考写真1(12年前)



参考写真2(2006年現在)



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パークハイアット・シンドローム、震度9!
じゃ、スウィートでいいっす


営業部・そのだあきふみ

 
 忘れもせーへん、ちょうど1年前。人生最大のお買い物…。
 彼女の誕生日を1週間後に控えた俺は悩んでいた。なんと1年に1度のその祭典が、滅多にあらへん大阪出張の日程と重なってしまった。
「おめえ、出張中1日でいいから帰ってこいって」
「それってすんごいロマンチックだよ」
 以上、尊敬して止まない上司たちのありがたいお言葉。

「うむむ…うぐ、う〜〜〜ん…」
 様々な思いが頭の中で交錯した。
「ちょっと待てよ…、大阪から東京までの片道切符代が新幹線で1万3500円やから、×(カケル)ことの2倍で2万7000円。彼女へのプレゼントが3万円で、税込価格の3万150円で考えると、占めて5万7150円か。かーーっ、キツイやろ。大阪行ったら友達と飲むし、飲んだら絶対アソコ行くし、金使い過ぎ。そこまでするのもなんか貢いでるみたいやし、俺、今回は「しっかり怒れるお兄さん」キャラで彼女とお付き合い進行中やし、そこまでする必要ないって。あ、違うわ。3万の消費税って1500円やし。てことは、締めて5万8500円か。ないな…。今回は、遠くからカッコよく彼女のバースデーを祝える方法を考えな…」
 こんな緊急事態でも、考えることって金のことオンリー。俺っていやらしい人間なんやろか…。

 そんなこんなで、彼女へのお祝いはプレゼントとフリージアを一緒に届けて、電話越しに「愛してるで…死ぬるほど…」プランでほぼ決定!それで全ては解決したはずやった。
 ところがある日の彼女の言葉。
「二十歳の誕生日は一生に一度しか来ないんだよ!そんな時に出張なんて…。いったい私のことをどう思ってるの?親への挨拶も先のばしだし、何を考えてるのかサッパリわからない」
 更に彼女はエスカレートする。ドアを蹴り、目覚まし時計を投げる。最後には、冷蔵庫から取り出した新鮮な野菜達が宙を舞う。デンプンが飛び散る。俺の胃が唸りを上げる。
 だけど、それでも、メロドラマに出てきそうな台詞と表情はやっぱり俺を悩ませ続けた。

 そんな時、頭をよぎったのが付き合い始めたばかりの頃のこと。
「一生に一度は泊まってみたいよ。○○○ハイヤットとか…」
ホテルでルームサービスの仕事をしている彼女はやはり高級ホテルに目がない。
 その言葉を思い出してからは、俺はどうなっちゃったのか、金勘定など全部吹っ飛び、ひたすらPCに向かって調べモノ。ドラえもんにすがるのび太のごとくyahooにすがる! 「高級、ホテル、日本最大」わけのわからない検索キーワードを打ち込みまくり、なんとかたどりついたのが、“パークハイアット”!
「キターーーーー!!!!!!」
こんな時は秋葉系なワードがピッタリ。
「“ハイヤット”じゃなくて“ハイアット”かーーーー!!!!」
 意味不明な叫びを実家で吼えながら、受話器は既に鎖骨と頬の間にセット!!いざ、予約!
「それはそれは高いに違いない、なんせ新御三家のトップに君臨するホテル様ですから…」
 仕入れたてのネットの情報をブツブツつぶやきながら電話する姿は、傍から見ると気持ち悪いことこのうえなかったに違いない。
「只今、指定の日はご予約で満室となっております」
 終わった…。最も聞きたくなかった言葉。
「そうですか…」
 寝起きのブタぐらいテンションの低い俺の返答に、「お客様、パークスウィートなら只今、空きがございます」とパークの紳士。
「マタキターーーーー!!!!!!」ココロが震え上がる。
「じゃ、スッウィーーートで!!!」叫ぶ俺。
「一泊15万円になります」冷静な紳士。
 もう、どうでもよかった。

 以上、人生最大のお買い物の瞬間!
 勢いにまかせて、給料1ヵ月分を一晩で費やしてしもたけど、今となってはこの時俺に関わってくれたみんなに感謝したい。
 大阪から帰ってくる、そんな第一の関門を開いてくれたすばらしき上司たちに!
 僕にとってのドラえもん、yahoo様に!
 顔も知らないパークハイアットの紳士に!
 そして、とびっきりの笑顔をくれた最愛の彼女に!
 来年、また行こうな。ちょっと寒くなるこの季節に。あったかい思い出をくれたあの部屋に…。たとえバスタブの詮が壊れてるからって、震えながら二人で風呂に入ったからって、そんなん関係あらへんやんな。


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オレンジズーマー
壊れたけど修理した


営業販促部・はなしろたいむ


 オレンジ色や、赤色に染まった並木道。
 ヒラヒラと落ちる葉っぱをすり抜けるようにして、僕は、家と新宿を結んだ「青梅街道」をZOOMERで走り抜ける。ZOOMERに乗りはじめてからそろそろ3年たつ頃だ。
 上京したばかりの当時は、「200%人が詰まった電車」が許せなかった。どうにか電車を使わずに移動することができないものか。よく考えた末に、スクーターを選んだ。スクーターなら駐車場を借りる必要もなく、維持費もたいしてかからない。
 しかし残念ながら、スクーターはどれも見た目が面白くない。バイクに詳しい友達と一緒に上野のバイク街を回ったが、流線型の似たようなものばかりで、ちっとも心に響いてこない。
 そんな中で一台だけ、目に止まるものがあった。
 パイプでできたシンプルな構造、ビビットなオレンジ色。押すと倒れそうな軽々しさはなく、タイヤは太くて車体はがっしりとしている。原付というよりは中型のバギーに近い。惚れてしまった。これがHONDAの開発した新しいコンセプトの「ZOOMER」という。
 他のスクーターに比べて、値段も2倍近い。僕は大学生になったばかりで、お金がなかった。でも、このスクーターとの出会いは一生ものだと信じ、ローンを組んで手に入れることにした。

 それからは、どこに行くにもZOOMERという生活が始まった。
 原宿や渋谷に行くと、オシャレなバイクが立ち並ぶ。そこに混じっている自分のZOOMERの姿が、なんともいえない優越感を感じさせてくれる。行動範囲もずいぶん広くなった。下北沢や代官山、高円寺、吉祥寺。地図帳を広げては、次の目的地はどこにしようか悩んでしまう。僕は原付とともに東京のいたる場所を旅した。
 ZOOMERを手に入れてから3年たった頃、そろそろ車の免許でもと思い、教習所に通いはじめていた。車から見える世界も魅力的で、気持ちはZOOMERから徐々に車に移りかけていた。それがいけなかったのかもしれない。
 ある日のこと、僕の住んでいる地域が、局地的集中豪雨を受けた。どこの家も水浸しになったが、僕の部屋は2階だったため大丈夫だった。ところが雨もあがり、いつものようにZOOMERに乗ってエンジンをかけたその瞬間、マフラーから大量の水が吹き出した。すっかり忘れていた。悔やんだけれど時すでに遅く、ZOOMERは完全に動かなくなっていた。オシャカっていうやつだ。
 修理代は決して安くなかった。バイク引き取り料、水の抜き取り料、部品の取り替え料、工賃。しめて5万円也。いっそのこと、廃車にしようと思った。
 でももう一度、この原付きに愛情を注ぐことを決心した。車に浮気をした自分が悪かったと思った。枯葉を落とし終えた木々の間からは冷たい風が吹き込む。原付で走り抜ける爽快な気持ちは捨てられない。


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ビバ!買い物人生


営業部・たけだちなつ


 私は買い物、つまり「自分の身の回りをお気に入りのかわいいものでかためること」を人生の目的とし、何よりも優先し、まあいうなればライフワークのようなものにすることに決めた。
 決めてからは、人生がすごく楽だ。自分がどんなにたくさんバイトに入っていてもいつも貯金なんて全くあったこともなく、海外旅行の数が友達に比べて少なくたって、だって私は海外旅行に行くことよりも、自分の部屋を誰より可愛くすることを選んだのだから、となんていうか後ろめたさ(大学生のくせに海外旅行してない)を感じることもなくなったし、自分の信条があるってなんて生きやすいんだろう♪って思う。信条って、買い物においての、だが。まず、こんな場所で・・とか思わない。可愛ければ、買うのだ。
 それが例えオバサンしかいない商店街の一角でも、“ここじゃなくても買える”ものであっても。その2。迷ってどうしても決められなかったら2つ買う。その3。買うもの全て、見た目で選ぶ。実用性を重視する、すなわちそれは死である。実際にこれを100%実行して生き始めると、これがかなり調子いい。私にとっては、これがシンプルライフ。そして人生。
 実は、今思えば、私の人生がこうなるきっかけとなったのではないかと思える一品がある。それはなんてことはない、600円ぐらいのゴミ箱だけれど。けど、普通ではない要素はいくらかある。その頃16歳くらいの私は横浜に住んでいたけれど、それは福井県のとある港町で買った。父親の田舎だ。そしてそれは、観光名所(なんか、自殺の名所みたいな崖?)の、観光みやげ屋さんにあった。そして、そんな所で手で抱えるようなごみ箱を買うということは、そこからの帰り、福井から神奈川の道のりを煩わしいでかい荷物を抱えながら移動しなくてはいけないということだ。冷静に考えればバカな話だ。大体ちょっとした国内旅行で遠く離れた県に行くとき、日用品を買おうと思う人がどれくらいいるのだろうか?
 それでも私はなぜか、買った。そのころ作ろうとしてたアジアンなお部屋に絶対合いそうな、かわいいベトナム風のお花がついた茶色のカゴは、それが干物やわさび漬けに混じり、「なんでここにあるの?」と思わせるものであったがこそ、私は買ってやろうと思った。そして我ながら「おかしい。ブチ切れてる」と思った瞬間、私はどんな場所でだって買い物する決意、どんな場所でだってかわいいものを探すことを自分の特技とすることを誓ったんだと思う。そのごみ箱を見つけたことが、自信となって。港町のさびれた土産物屋にあった、でも東京のアジアン雑貨店にも負けないかわいいごみ箱は、16歳の私を狂わせたのだ。そしてそれからずっと。
 買い物が生きがいの人生は、自分はすごく楽しいけれど、たまにマトモな友達をキレさすから注意。「もうっっ!シールとかノートとか変なものにばっかお金使ってちなっちゃんキライ!」って。つい昨日の話だ。


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