靴職人への旅路

衝撃 〜春休みの読書感想文〜  2005年3月17日(Thu)

No.136 --


 僕の人生には、物・人、問わず沢山の衝撃的な出会いがあり、僕はその衝撃に耐え得るだけの信念のようなものが無いから、その度にすぐそれに影響されてしまいます。

 今回の衝撃はズバリ、太宰治でした。

 僕はよく、それを経験してもいないのに、いつからか作り上げられた自分の勝手なイメージで最初から食わず嫌いなものがあり、その中に太宰も入っていて(他に音楽ではジェフ・ベック、料理ならブリ大根が嫌だ) 、ある人にとにかく 『人間失格』 を読んでみたらと言われたのきっかけに、古本屋に走って恐る恐るレジに持っていき、ベッドの中で嫌々ながらページをめくっていきました。


 そしたらね、もう眠れなくなった。


 これは僕にとっては、素晴らしい小説です。

 読んだことがある方なら解るかもしれないけれど、あの本の中で表現されている、映像がそのままそっくり見えてしまいそうな文体や、主人公の馬鹿みたいな考え方がやけに自分とリンクしたりして、オイオイ、自分もこんなになってしまうんじゃないのかという、不思議な不安感に引き込まれてしまうのです。

 そして読み終わってから最後の解説をパラパラとめくっていくと、そこには 「太宰は読者の好みがはっきりと分かれる小説家で、嫌いな人は大嫌い、好きな人は大好きという、中間点の無い作家である」 みたいなことが書かれていたのだけれど、なるほどそれは当たっているだろうなと思いました。
 読む人によっては 「なんだこの駄目男」 と思うかもしれないし 「あらやだ…。残念ながらその気持ち解っちゃいます。自分も失格でしょうか?」 と思う人もいるのだと思います。しかし僕個人の意見としては、主人公の考えは万人に当てはまるもので、その代わり、その感情の強弱や、理性の有無によってその人の生き方が違うだけだと思うのです。特に若い人にとっては、かなり深いところをほじくり回されているような気になる一冊だと思います。


 読んでない方は是非一度お試しを。


 失格者が多数出てくると思いますよ。


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