サンクチュアリ出版 スタッフブログ::今年上半期のお気に入り映画10本

Home > スタッフブログ > サンクチュアリ出版 スタッフブログ::今年上半期のお気に入り映画10本

サンクチュアリ出版スタッフの日記です

今年上半期のお気に入り映画10本

梅雨です。イヤです。ジメジメです。
デザイナーのしんぱちです。

こんな季節は、映画館に逃げ込むに限ります。
雨にも濡れず、風にも吹かれず、
ジメジメした空気だけはしょうがないですが…
映画館はとてもいいところです。

さて今年も、もうすぐ半分終わります。
特に書くこともないので今年の上半期に映画館で見た映画の
個人的なベスト10を書かせていただこうかと思います。
あくまで個人的な、です。
誰が見ても楽しい映画とかではないです。あしからず。

「海獣の子供」
絶賛上映中です。いま見れます。すぐ見れます。衝撃的な映画でした。作品そのものが一つの生き物のような、そんな映画でした。冒頭の通学、学校でのハンドボール、帰宅シーン、ここでもうやられました。日常の描写をここまでエモーショナルな世界として描けるなんて…。何も起きていないただの日常風景を見ているだけで、こんなにも気分が上がるとは。信号機だったり、坂道だったり、地面の水たまりだったり、かたわらに生きている小さな生き物だったり、あらるゆものを緻密に丁寧に、しかもアニメ的な面白さを持って描き込むことで、まるで世界がそこに息づいているかのように感じさせる。世界そのものが神秘の存在としてそこに表出する。自己と生命と宇宙と…この作品のテーマそのものが作品になったかのような、すごい作品でした。こういう妄想を炸裂させていた十代の頃に見ていたら、完全にぶっ飛ばされたんだろうなと思います。とにかく最高でした!!!!ああ、生きててよかった。

「僕たちのラストステージ」
ローレル&ハーディというサイレントからトーキーになる頃に大人気だったお笑いコンビを描いた映画です。チャップリンとかキートンの時代ですね。不勉強ながら全くこの2人のことを知らなかったのですが、この映画の舞台は1950年代で、2人はイギリスを回るお笑い巡業の旅に出るのですが、人気はもう下火で、用意されてる劇場も小さくて、客もまばら、泊まる宿もボロ宿で、何とも哀愁漂う落ちぶれた老人2人のロードムービーになるのかな、なんて思っていたら、この2人の何とも愛らしい人柄と、彼らの生み出す笑いのセンスの良さと抜群の面白さで、徐々にお客が集まって、劇場も大きくなっていって…という、どん底からの返り咲き映画でした。とにかく終始ニコニコさせられっぱなし、ほっこりしっぱなし、終わる頃には永遠にこの2人の掛け合いを見ていたいほど大好きになってしまった。そして、タイトルになっている2人のラストステージには信じられないくらい号泣しました。なんて気持ちの良い映画なんだろう。大好き!!!そんだけ。

「バーニング 劇場版」
イ・チャンドン監督8年ぶりの新作。原作は村上春樹の「納屋を焼く」。昨年の暮れにテレビ用に編集された90分版がNHKでオンエアされていて、それも素晴らしい作品だったのだけど、劇場版はそれより40分長いバージョンになっている。ただ長くなったというのではなく、全く違う作品と言ってもいいくらい別の映画になっていました。そして、これがとんでもない傑作でした。ただ説明するのがすごく難しい映画です。記憶と存在についての映画というのか…実はこの映画に肝心なことは何一つ写っていないかもしれないという、そういう映画です。猫は?井戸は?燃えたビニールハウスは?そもそも彼も彼女も何者なのだ?冒頭でパントマイムのコツについて「あると思うのではなく、ないことを忘れる」と語るシーンがありますが、まさにそういう映画のような気がします。テレビ版は消失の話でしたが、劇場版はその先にある絶望の話として見ました。そして訪れる壮絶な結末…。とんでもないものを見ました。

「僕はイエス様が嫌い」
「とんでもねえ、あたしゃ神様だよ」は志村けんのギャグですが、いや、これはとんでもない才能が現れたものです。奥山大史監督、22歳ですって。「どれだけ生きたかではなくどう生きたか」だと尊敬するローランド様もおっしゃっていましたが、いや、22歳でこの映画が撮れるって、一体どんな感性なんだ。見終わって何とも言えない違和感と、映画に写っていない何かを考え始めてしまう作品でした。おとなしい少年と彼にだけ見える神様のファンタジーとして単純に楽しめる映画だと思います。ただ、すごく引っかかるのです。美しくて、かわいらしい映画なんだけど、そこに深い闇と虚無を感じました。これは偶然なのか、計算か。いや、いずれにしろあんなに自然に子供を撮れるって、それだけでもどうかしてるレベルだ。とにかく、あたしゃとんでもないものを見てしまったよ。まだ上映中です。小規模な映画ですが、できれば劇場で是非。

「チワワちゃん」
なんだ、最高じゃないか。好き好き大好き超愛してる。そう言いたくなる映画です。二宮健監督作品です。彼の映画は大学の卒業制作で作った「SLUM-POLIS」から追っかけていて、近未来っぽい世界感とカラフルな色使いに惚れ込んでいるのですが、今回は初の原作付きで、しかも岡崎京子のマンガ、どうなるかと思ったら、やってくれました。最高です。浮かれてジャンプばっかりしてんなーという印象はぬぐえないけど、若さに溢れた高揚感と、どうしようもない無力さと孤独感が並走していくような映画でした。ビジュアルがとにかくいい!それとキャスティングもいいです。門脇麦と今年が旬の成田凌。一見カリスマ的存在に見える成田凌に憧れをいだく門脇麦。でも憧れの彼は一皮むくと何でもないただの空っぽの男という設定が、昨年公開されて、やはりこの2人が同じような関係性で出ている映画「ここは退屈迎えに来て」に通じる部分があって、全然関係ない作品同士だけど、個人的にはその対比も面白かった。

「岬の兄妹」
前にこの日記にも書いたけど、すんげー破壊力のある映画です。足の不自由な兄と自閉症の妹。職を失って金もなくなって、兄が妹に売春させる商売を始めるっていう超えげつない話です。間違ったところしかない映画です。最悪なテーマの映画なんですが、この映画がすごいのは、それがむちゃくちゃ面白いところです。きっちりエンタメしているのです。ある意味、これはコメディです。いちばん強烈だったのは不良中学生に囲まれてお金を奪われそうになった兄が見せるすさまじい護身術。映画史上に残る最悪な喧嘩術ともいえる、ほんとに最低な勝ち方に爆笑しました。目を背けたくなるようなテーマではあるけど、これもまた日本のリアルだと思える作品でした。

「愛がなんだ」
話題沸騰でまだまだ全国拡大公開中!これもいま見に行ける映画です。みんなこういう映画好きよね〜。めんどくさ〜い20代後半男女の一方通行恋愛ドラマ。一方通行と書くと純愛もののように思えるけど、とにかく一方的に「尽くす」恋愛の形。この映画の常軌を逸した尽くし方はある意味ホラーです。そしてまた成田凌だ。一見イケメンだけど、実は中身空っぽのダメ男。こういう役をやらせたらパーフェクトだ。出てきた瞬間から「あちゃー」って感じの岸井ゆきのもすごかった。夜道でラップ歌いながら歩いていて、一番見られたくない誰かにそれを見られたときのショッキングな感じとか、映画的表現も面白かった。ちなみに成田凌と岸井ゆきのは先述した「ここは退屈迎えに来て」でも共演していて、またその関係性の対比が面白かったりもした。昨年見て妙に引っかかる映画だったんだけど「ここは退屈迎えに来て」は意外に重要度の高い映画なんじゃないかと思えてきた。

「セメントの記憶」
ドキュメンタリー映画です。ただ見終わって、1本の映画を見たというより、1冊の写真集を読み終えたような感覚になった。イメージの洪水のような映画でした。レバノン映画。ベイルートに建設中のオーシャンビューの高層ビル。その建設現場を淡々と映した作品。言葉による説明は何もない。シリアから移民し労働している男たちは、ビルの地下で暮らし、外出は許可されていない。日々、穴から這い出して高層ビルに登りビルを作り続ける。カメラは男たちの顔に極限まで迫っていく。戦争の爪痕と、哀しみとも怒りともつかない表情。劇中、誰一人言葉を発する者はいない。ただ時々ある男の記憶の断片が詩のようなナレーションとしてはさみこまれる。時にそれは映像として表出する。記憶の中の痛みと、ただ働くだけの現実。とにかく「見る」ことでしか味わうことのできない何かだった。

「マスターZ イップマン外伝」
香港映画です。カンフーです。みんな大好き「イップ・マン」シリーズのスピンオフ作品です。でも単体の作品としても十分面白いのでイップマンを知らないって人も見て大丈夫だと思います。見る前は「イップマン(3)継承」で主人公に敗れたアイツのスピンオフ?って、実はあんまりピンと来てなかったんですが、すみません、なめてました。マックス・チャン最高です。強いんだけど無敵じゃないのがいいです。あと、女ボス役のミシェル・ヨーがなんともかっちょいいです。タイのアクション俳優トニー・ジャーの隠れキャラ的な使い所もお見事!!とにかく見せ場たっぷり、でもって、シナリオがいい!!バトルの展開も全部バラエティに富んでるし、最後の最後まで興奮しっぱなしでした。いやーほんとよかった。本家もいいけど、スピンオフの続編も作ってくれー!

「それだけが、僕の世界」
正月に見ました。今年の映画館一本目。韓国映画です。イ・ビョンホン主演です。ビョン様です。だから劇場はおばちゃまがいっぱいでした。母の愛を知らずに育った中年ボクサーと母に大事に育てられた知的障害を持つ弟の話です。天才的なピアノの才能をもった弟と暴力的な兄のレインマン的な話であり、行き場のないどん底のような暮らしからの這い上がる映画でもあります。コミカルな掛け合いがあったかと思えば、深刻なドラマになっていったり、韓国映画のこういうバランスは見事です。クライマックスは涙腺が決壊するほどに色んなものがこみ上げてきました。とにかく涙、涙でした。演奏一発でここまで泣かされるとは…。こんなのズルいです。

おしまい。

あ、お気に入りをもうあとちょっと、タイトルだけ
「アメリカン・アニマルズ」
「パリ、嘘つきな恋」
「サスペリア」
「迫り来る嵐」
「スイダーマン:スイパーダーバース」
「バイス」
「ホワイト・クロウ 伝説のダンサー」
「僕たちは希望という名の列車に乗った」
「グリーンブック」
「ROMA ローマ」
まだまだあるんですがキリがないので…。
2019,06,11, Tuesday| 07:15 PM スタッフ日記

RSS