健康

笑顔で「ごちそうさま!」が言えるようになりたいあなたへ~摂食障害回復プログラム〜/渋谷あすか@neonadeshiko

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摂食障害は、克服できないわけではなかった。ただ、その方法を知らなかっただけだった。摂食障害の蟻地獄から10年抜け出せなかったという渋谷あすかさんが、克服するため本気で取り組んだ結果、摂食障害になる前よりもずっと幸せになった方法をお伝えします。

摂食障害と生まれ持った性格

摂食障害に苦しんだ10年

私は、摂食障害で苦しんでいる方、治したいけれど何から手をつけるべき分からない方へ、摂食障害克服のステップなどについてブログやカウンセリングにてお伝えしています。摂食障害で苦しんでいる人が1人もいない世の中にすること。そして、生まれ変わってもまた自分がいいと思える女性を増やすこと。これが私の使命だと思っています。

今でこそ、こうして摂食障害の克服方法をお伝えしていますが、ほんの少し前までは私も摂食障害の深いトンネルの中にいました。ダイエットから、拒食、過食、過食嘔吐を繰り返し、慢性化。1日に4~5回の過食嘔吐を繰り返して終わってしまう日も少なくありませんでした。

看護師として働いていたときのことです。
何かを変えたいとハワイ旅行をしたときに、キャミソールにショートパンツ姿で笑顔が素敵な女性をたくさん目にしました。その時、
「私もあんなふうに自分の身体のラインを隠さずに、自信を持って歩きたい」
「パンケーキやハンバーガーを罪悪感無くお腹いっぱいに食べられるようになりたい」
「大切な人たちと幸せを感じながらご飯を食べられるようになりたい」
と心から思いました。そう思ってから、1日に10回以上乗っていた体重計を捨て、数字で自分の価値を測ることを一切止めました

そのあと順調に改善したかというと、全然そんなことはありませんでした。それから8年もの歳月をかけて、やっと摂食障害を克服することができました。
その間、体調を崩したことをきっかけに看護師を辞め、もともと興味のあったヘアメイク、そしてイメージコンサルタントとして起業しました。様々な人と出会うなかで、どんなに外見が美しくても、「自分らしさ」がなければ魅力的に見えないのだと思い、それからはだんだんと自分自身の魅力にも気づけるようになりました。
そうして、「絶対に治したい!」と思ってから、ありとあらゆる摂食障害に関する本を読みあさり、インターネットでいろんな情報を集め、心理学を学んだり、セミナーに参加したり、いいとされるものには片っ端から取り組んできました。何度も失敗したれど、ここまで1歩ずつ1歩ずつ歩いてきました。

摂食障害を克服して2年。現在では摂食障害の方へのサポートをスタートしています。今日は、摂食障害に悩む過去の私のような方に対して、私が摂食障害克服のために実践したこと、学んだことについてお伝えしていきます。

自分の性格を知る

私は、摂食障害を克服できないわけではなく、その方法を知らなかっただけでした。私が摂食障害を克服することができたのは、そのままの自分を許すこと、そして、どんな問題でも自分の力で解決できる力があることに気づけたからでした。

まず、自分の生まれ持った特徴を知ることから始めます。下の図は人の性格を7つの因子に分けたものです。①~④の4つの因子は生まれつき変わらないもの。そして、⑤~⑦の3つの因子は環境によって変わっていくものだそうです。いずれも「高い」「低い」でレベルを表します。

摂食障害に多い傾向

そして、摂食障害になる方が持っていることの多い特徴が分かっています。
過食症になる方の特徴は
①冒険好きが高い
②心配性が高い
⑤自尊心が低い

拒食症になる方の特徴は
②心配性が高い
④粘り強さが高い
⑤自尊心が低い

過食嘔吐の方はこの両方を行ったり来たりする傾向にあるそうです。

この傾向は、ダイエットから摂食障害に移行してしまう人としない人との違いでもあります。私は摂食障害になる人の特徴にすごくあてはまります。
①冒険好きが高く
②心配性はすごく高く
⑤自尊心はとっても低かったのです。
自分が摂食障害になる方に多い特徴に、あてはまっていることを知ったとき、私は「あーやっぱり」とがっかりしたのではなく、「私のせいではないんだ。私が弱くてダメなわけではなかったんだ。生まれつき人よりもその要素を多く持っていただけだったのだ。」と、心が楽になったのを覚えています。

みなさんは、思い当たる節はありますか。ぜひ、自分の特徴をノートに書き出してみてください。どの因子も高い/低いでチェックしていきます。そしてその特徴を否定するのではなく、上手く付き合っていこう!と、とらえましょう。

自尊心は高められる

これをみると、過食症、拒食症、過食嘔吐、どれにもあてはまる特徴があります。それは「心配性が高い」と「自尊心が低い」。この2つが摂食障害になる方が持っていることの多い特徴です。
「心配性の高さ」は生まれつきで変わらないのですが、「自尊心の低さ」というのは高めていくことができます。なので、摂食障害を克服するうえで自尊心を高めていくことが非常に重要になってきます。

そもそも、どうして摂食障害が起きてしまうのでしょうか。
それは、自分を守るためです。「こんなに苦しいのに、なぜ摂食障害が自分のことを守るなんて言えるの?」、「苦しめられているよ、こんなの辛すぎる」と思うかもしれません。でもこんなに苦しい思いをしないと消せない心の傷や、そのままでは直視できない程苦しい「何か」があなたの中にあるのです。その苦しい気持ちを摂食障害の苦しみで麻痺させて、現実から目をそらすことで心を守っています
大きなストレスを感じたとき、大抵の人は外にそのイライラをぶつけることができます。けれど、摂食障害の方は優しすぎる人が多いので、外にぶつけることができません。怒りの矛先を自分に向けてしまうのです。

心を強くするノート術

症状が出る度に書く

ではどうしたらいいのか。
それは、摂食障害以外の方法で心を守るすべを身につける。これに尽きると思います。
もう少し詳しくお話しましょう。
まず、どんなときに摂食障害の症状が起きるのか、原因を見つけていきます。摂食障害の症状が出たときや、ひどくなったときに、なぜそうなってしまったのか、振り返ってみましょう。
前後にどんなことがあったのか、嫌な気持ち、傷ついたことは無かったのか、自分自身を観察してみてください。

これは、直視したくないこと、蓋をした感情に向き合っていくことになるので、最初は苦しいかもしれません。けれど、この感情をノートに書き出してほしいのです。

続けていくコツは丁寧に書こうとしないこと。出てきた感情をそのままドバーっと書いてみてください。
「あの人むかつく」
「なんであの人に、あんなこと言われなくちゃいけないの」
「これを食べるのが怖い」
こんなふうに思いついたことをそのまま書いてみてください。ノートに書くことは、ストレスを吐き出すことになりますし、冷静に自分を客観視することにもなります。

自分を好きになれない理由①

これを続けていくと、今まで知らなかった自分に気づくはずです。そして、自分がどんな言葉を自分に投げかけてきたかがわかります。
「なんでできないの?」
「あの人ができないせいで、こうなった。」
と怒りん坊の厳しくて怖い自分や、
「またやっちゃった」
「私なんてどうせダメなんだ」
「嫌われているんだ」
と泣いてばかりの弱虫でかわいそうな自分が出てくるのではないでしょうか。

自分のことを好きになれない理由、それは、いい子のときの自分しか認めていないからです。いい子の自分は、実はほんの一部です。いい子の自分しか認めてあげないというのは、自分の子どもがテストで100点を採ったときにしか褒めてあげない、自慢できるところしか愛さないのと同じです。いい子の自分しか愛されないなんて辛いですよね。

書き出してみると、負の感情を持つ黒い自分もたくさん出てくるはずです。けれど、摂食障害の人は「そんな自分はダメ、自分じゃない」「むかつくなんてそんな感情を抱いてはいけない」と考え、摂食障害の症状でその感情を麻痺させて、消してしまおうとしています。いろんなダメな感情に蓋をして感じないようにしているのです。でも残念ながら、この感情は蓋をしても消えることはないのです。むしろどんどんと大きくなってしまいます。

では、どうしたら蓋をしてきたダメな感情が消えるのか。それは、どんな感情も否定せずにしっかりと受け止めてあげることです。
辛かったよね、それは嫌だったよね、傷ついたよね、としっかりと自分で感じることで、辛かった感情は癒えていきます。
どんな感情も抱いて当然なのです。それが人間です。いろんな自分がいるからいいのです。どんな自分でも認めること。そして、どのような選択をしたときでも、仮に失敗しても結果がでなくても、自分に「いいね」を押し続けてあげること。これが自尊心を高めることに繋がっていきます。

自分を好きになれない理由②

自分を好きになれないもう1つの理由は、「自分に自信が無い」「価値がない」「役に立たない」という思い込みです。思い込みは、事実でもないのに自分で深く信じこんでしまうことです。この思い込みは思考のくせで、良く思い込めるか、悪く思い込んでしまうのかは無意識なのです。私たちは無意識のうちに、どちらかの思い込みをパターン化しています。

「自分に自信が無い」「役に立たない」など、悪く思い込むくせは、かなり手強いです。パターン化している人は何年もそれを繰り返しているので、自分でも最初は気づかない無意識のレベルでたくさんの思い込みをしています。そして、この状態でいると、自分に価値が無いと感じ、価値を作ろうとします。例えば、資格を取って、人と比べて安心したりします。けれど、不足を埋めるための行動は、どんどん苦しくなってしまいます

不足を埋めることが動機だと、まず、モチベーションが上がりません。
結果が出ないと怖い。
焦ってばかりで苦しい。
なぜかいつも上手くいかない。
これでは、どんな行動も苦しくなってしまいますよね。そして、価値が無いと思い込んだままの行動は、周りと比べることで落ち込んでしまい、「なんで私はあの人みたいにできないのだろう」と自分を責めて、「自分には価値が無い」という気持ちを強化していってしまいます。

無意識にパターン化

では、自分には価値があると思って行動するとどうなるのか。たとえ上手くいかなくても「まあいいか」「頑張った自分は偉いじゃん」とチャレンジしたことを認めることができます。そして、また次を頑張ってみようと、自分を励ましながら自分を好きになって前に進むことができます。

上手くいくときと、いかないとき。それぞれどんな過程をたどっているかというと、問題、出来事、願望を無意識にパターン化しています。生きている中で日々いろんな問題があります。そのときにどっちのパターンに進むかで、結果が大きく変わっていきます。ですから、問題が起きたときに自分はどっちの思い込みをしているのか?を意識して、今日から過ごしてみてください。

気づきとチェンジワード

ネガティブ思考をストップする

まずは、自分がどんな思い込みをしているか、どんな思考のくせを持っているのか「気づく」ことをしないと、人は変わることができません。

そこで、ネガティブな気持ちが出たら、自分に語りかける「チェンジワード」を決めてほしいと思います。例えば、嫌なことを言われたとき。嫌な態度をとられたとき。失敗してしまったとき。自分を責めているとき。過食してしまったとき。それに気づいたら「大丈夫、大丈夫」「ハッピー」など、言葉は何でもいいので「チェンジワード」を口にしましょう。
そうすると、ネガティブモードになったときでも、ネガティブのループに入る前に、「あーそうだった!」と思考の段階でストップすることができます。
自分がマイナス思考に進もうとしているのを食い止めてくれる「チェンジワード」を1つ決めておくだけで、自分の力で現実を変えていくことができます。今までは、問題が起きるたびに、自分には価値が無いのだという思い込みで、ずんと落ち込んでしまっていたと思います。でもネガティブな思考に気がつければ、ポジティブな思考に戻ることができます。

思考のくせを変える

私が行っている『摂食障害回復90日プログラム』でも「良い捉え方をしよう」「どんなことでも自分の力になる捉え方に変えよう」という提案をしています。今までネガティブに捉えてきた方が、急にポジティブに捉えられるようになるのは難しいです。そして今度は、ポジティブに考えられない自分を責めて、落ち込んでしまう。
なので、まずは気づくことから始めましょう。そして、気づいたら「チェンジワード」を自分にかけてあげて、落ち着きましょう。するとネガティブな思考に傾かないようになっていきます。これを毎回練習していけば、本当に「徐々に」ですが、思考のくせは変えていけます。

ノートに書いてセルフコーチング

ここまでは、ネガティブへの対処法を伝えてきました。ここからは、ポジティブになるためのポイントを話していきます。

ポジティブな私とは「私には価値がある」「私ってすごい」と思うこと、つまり、どんな状況でも、どんな環境でも、自分に「いいね」を押し続けてあげることです。しかし、急に言われても難しいですよね。なので、最初は自分を見つめる時間を意識的にとってほしいのです。

やり方は最初にお伝えしたことと同じで、ノートに書くこと。自分を見つめることができ、自分が愛おしくなってきます。私もたくさん書いて、自分を見つめてきました。
ノートに書くとネガティブモードになっていることに気づけます。そして漠然とした不安や悩みも見えてきます。そうしたらここで、「チェンジワード」です。1回落ち着いてから、そのあとに「本当はどうしたい?」と自分自身に問いかけています。

自分自身に「本当はどうしたい?」と聞いてあげることで、セルフコーチングができるようになります。そして、ノートを読み返しただけで、自分で自分に「いいね」と思い、自分を満たすことができるようになります。そして今までは自分の中に溜め込んでいたストレスも、外に吐き出すことができるようになります。
ぜひ今日からノートに自分の気持ちを吐き出して、どんな自分も受け止めてあげてください。ネガティブモードになっていたら、「チェンジワード」でストップをかけてあげてください。ノートを読み返すときは、どんなときも100%自分の味方になってあげましょう。

今回お伝えしたことは、どれも今日からすぐに始められることです。ぜひ実践して、自分を幸せにしてあげましょう。あなたはたった1人の大切な存在です。いままで本当に頑張ってきましたね。こんなに辛い病気なのに外では普通のふりをして頑張っていますよね。いままでこんなに頑張ってきた自分を抱きしめて「10,000点満点」をあげてくださいね。

(画像提供:iStock.com/Tero Vesalainen)


渋谷 あすか

<経歴>
熊本県益城町生まれ、栃木県宇都宮市在住。

美容外科看護師、保育園看護師を経てイメージコンサルタントとして起業。
ネイル・ヘア・メイク・パーソナルカラー診断・骨格診断・ファッションをはじめ外見からのお客様の魅力をトータルで引き出す。
その人らしさが輝いてこそ魅力的なんだと、お客様を通し自分自身の魅力にも気づく。
ありのままの自分を愛せるようになり、10年苦しんだ摂食障害を克服する。
見た目の自信を伝えていく中で、自分自身も自分らしさを育み兼ねてからやりたかった《摂食障害の方へのサポートがしたい》という想いが強くなり、心理学を学び、メンタル心理カウンセラー、上級心理カウンセラーの資格を取得する。

心理学や対人関係療法の研修にも多数参加。
摂食障害を緩和するためのyoga等も学ぶ。

自分が摂食障害を克服する上で、役にたったこと・学んだことを体系化し【摂食障害回復90日プログラム】をスタート。

・自分をもっと好きになる
・他人と比べず自分を愛す女性を増やす
をコンセプトに、摂食障害から回復するためのセミナーやカウンセリング、継続講座を開催中。

これからも心からの笑顔が溢れるお手伝いを全力でしていきます^^